「特撮の神様と呼ばれた男」

私が書いた本のご紹介

「特撮の神様と呼ばれた男」

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鈴木和幸著

発行所 株式会社アートン

 

 

 「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二は、戦前戦後を通じて多くの映画・テレビ作品に関わってきましたが、その人となりはなかなか紹介される機会がありませんでした。

 この本では、円谷英二氏の人生を生誕から最後まで通算して描き、その波乱の人生をいろいろなエピソードを散りばめながら紹介するものです。これまで、円谷英二氏に関してはその伝記となるものがあまり存在しませんでしたが、今回の書物はそういった中で英二氏の人生を基本において展開し、伝記といえる内容となっております。英二氏が影響を受けた師匠達、英二氏を支援した人々、若き日の決断など、後に特撮映画で名を成す英二氏の青年時代の苦闘や、特撮映画以前に英二氏が関わった作品や戦時中の作品、あるいは戦後まもなくの時期の大変な苦労など、英二氏の様々な人生遍歴が書かれています。

 

 この本では円谷英二氏の68年の生涯を4つのパートに分けています。

第一部「英一の夢」円谷英二が本名の英一で1901年(明治34年)に生を受けてから上京、飛行機学校への入学、映画界入り、兵役、そして自宅から決死の覚悟で旅立っていく有様を描きます。1901年から22年までの時代です。

第二部「映画人・円谷英二の誕生」映画界へ戻り、必死の苦労で映画を学んでいく有様や、映画界の発展とともに英二の開発した技術や、映画界の遍歴、チャンバラ映画時代の活躍、特撮人になっていく様子、戦争映画の時代を描きます。1923年から45年までの人生です。

第三部「円谷特撮の本格開花」戦争が終わり、映画界の状況が変わってゆく中での挫折、貧しい時代の苦労、映画以外の発明、ゴジラの完成などを描きます。1945年から54年までの時代です。

第四部「夢の続き」特撮の大家として名を馳せた時代の活躍、円谷プロダクションの設立、テレビでの活躍、戦争映画の作成、英二の死を描きます。1955年から70年までの時代です。

 

 この本に当たっては、多くの文献を参考にさせていただきましたが、それ以上に、円谷氏と関わった多くの方のインタビューが、重要な骨子となっています。円谷英二氏の少年時代の逸話を本人から直接何度も聞いた円谷イヨ子氏、円谷英二氏と同年代で、無声映画時代を一緒に活躍した犬塚稔氏、戦時中から円谷氏と一緒に仕事を した鷺巣富雄氏、戦後まもなくの時期、円谷氏の苦しい映画時代を支えた有川貞昌氏、晩年に円谷氏に付いて、助監督として活躍した中野昭慶氏、円谷氏の三男で、現株式会社円谷映像社長の円谷あきら氏といった皆様に、貴重なお話をおうかがいさせていただきました。また、須賀川市にある円谷家の現・当主である円谷誠氏には、英二氏の貴重な手紙を数多く拝読させていただきました。戦前、戦時中の作品や、数多くの絶版の書物なども参考にいたしました。この様な資料をもとに書かれたのがこの本です。

 一般に怪獣映画の専門家という捉え方をされることが多い円谷英二氏ですが、実は日本映画界の歩みに深く携わり、無声映画の時代から、数々の発案や発明技術によって映画界を支えました。この本を読めば、円谷氏がどの様にして特撮の道を志したのか、よくわかっていただけると思います。

 

 

主な内容

  • 少年時代の故郷・須賀川
  • 師匠・枝正義郎と天然色活動写真株式会社について
  • 実の父親、勇の仕打ち
  • 初めての作品「哀の曲」の内容
  • 英一から英二に改名するいきさつ
  • 故郷でのいじめ
  • 青年期の重大決心
  • サイレント期の映画会社遍歴
  • 円谷英二、逮捕される!
  • ナチス・ドイツと円谷英二
  • 英二、故郷の空を飛ぶ
  • 特撮映画の開発
  • 東宝争議と英二
  • 英二が描いていた大ダコ映画の真相
  • 孫の誕生によって生まれた子供への愛情
  • 故郷との交流
  • マグマ大使に肩入れ?
  • 封切られた映画を撮り直す!

 

面白いお話がたくさん出てきます。ぜひご覧下さい。