これぞクリーニング・シロアリ 嘘と欺瞞の仮設工場

これぞクリーニング・シロアリ

嘘と欺瞞のクリーニング仮設工場

 東日本大震災は、岩手、宮城、福島の被災地に甚大な被害をもたらした。その復興には被 災地に住む自分として十分な努力をしなければならないと感じている。国からも復興予算が捻出され、それは私たちにとってもありがたい財源である。しかし、 この復興資金が詐欺まがいの、悪質ともいえる用途に使用されている。ここではそういう事例を紹介したい。

 

仮設工場の話題

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(7月1日に報じられた仮設工場計画。被災地の人々を驚かせた)

 昨年七月、クリーニング業界紙に「被災地支援へ仮設工場」なる見出しが載った。津波で流された被災地のクリーニング業者のために、厚生労働省が予算を組み、仮設工場を作って助けようというわけである。困っている人を救うという意味ではこれ も復興事業の一つだろう。発表したのは厚生労働省の認可団体、全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)の事務局長だった。業界紙は次号でも追い記事を載せ、工場を「貸し出し」し、料金を取って業者にレンタルするという方針を報じている。

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(7月10日に報じられた記事。具体的な仮店舗計画が述べられている)

 しかし、クリーニング業者としては疑問が残る。この時点で震災から四ヶ月、被災地の同 業者は自力で再建し、業務を継続している。私の知る限り、おおかたの業者はもうとっくに以前の状態に戻っていた。また、残念ながら設備が流され、倒産してしまった業者もいたが、そういうところはもはや再建不可能、今さら言われてもどうにもならない。もう白黒付きすぎて、ハッキリいえば遅すぎる対応である。

 需要があるとすれば、家族だけでやっている零細な業者だけだろう。彼らはアイロン一つですべての業務をこなす職人である。仮設工場を作ったとしても、あまり役には立たないのではないだろうか?また、彼らを復帰させるにしても、作業量からして既存のクリーニング工場に依頼し、応援させた方がすぐにできるし、現実的ではないだろうか?わざわざ工場を建てる必要性を感じない。どうも不思議な話 だった。

 

全ク連を訪問

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(四谷にある全ク連の本部、全国クリーニング会館)

 そこで、私はいろいろ手段を使って2011年8月30日に行われた全ク連の記者発表に出席し、この件について聞いた。四谷駅下車で徒歩10分、その名も全国クリーニング会館がある。昭和32年、全国に組合が結成され、それをこの会館を本拠地とする全ク連が統括し、現在に至るまで厚生労働省直轄の団体はここだけだが、大手業者はことごとく組合未加入、零細業者がここを支えている。まさにガラスの塔だが、実は訪問するのは初めてだった。

 中に入ると、女性職員がやたらと多かった。全ク連の資金源は各都道府県にある組合からの上納金、贅沢なものだな・・・と思える。

 やがて定刻になり、事務局長が出てきた。この全ク連ではボスの専務理事とこの事務局長が一般に知られた存在である。ところが、事務局長は前に面識があるにもかかわらず、一瞥もくれなかった。

さて、会議が始まる。「業界紙に仮設工場のことが書かれているが、どのようになっているのか?」というのが質問だった。そのとき、記事に写真まで出ている事務局長は何かしら言いずらそうな印象で、「まだ何も決まっていない」とこの時点でまだ未決定であることを話し、さらに追求すると、「今日はその質問に答える場ではない」などと質問をはぐらかした。かなり不誠実な対応だった。

 「だって、業界紙に書いてあるじゃないか」と追求すると、ホントにイヤな顔をした。相当言われたくないような感じだった。この後、参加した業界紙記者達と酒を飲むのがパターンらしいので、私はそれに付き合ったが、事務局長は来なかった。

 何も決まっていないというのは本当だろうか?飲み会でも業界紙記者達はなにも言わなかった。

 

現地には既に仮設工場が・・・

 しかし、何も決まってないなど真っ赤なウソだった。

三日後に私は岩手県大船渡市の同業者を訪ね、その業者から、「この大船渡に岩手県の理事長である業者がいて、その工場が仮設工場になる予定だ」と聞いて驚いた。その場所へ行ってみたが、間違いなく地鎮祭が行われた跡があった。全ク連事務局長が何も決まっていないと言っていたのに、既に仮設工場建設は始まっていたのである。私は理事長の自宅を訪ね、真相を正したが、「間違いなく私の持ち物で仮設工場をやる。事務局長とは何度も会っている」と正直に答えてくれた。

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(クリーニング仮設工場予定地。しめ縄があり、既に地鎮祭が行われた跡があった)

 「なんだこれは!」全ク連事務局長は全くの嘘を言っていたことになる。仮設工場が決まっていって、地鎮祭も行われていたのに、「何も決まっていない」とはどういうことか。呆れてものもいえない。これは次回の記者発表で聞きたださなければならない。

 地元業者達の話によると、この工場は理事長の持ち物であり、津波で中にあった機械などを流されてしまったそうである。どうやらこの場所を仮設工場とし、動かすとのことだ。一般に全ク連の理事長を務める人は零細業者が多いが、この岩手県理事長は他に自宅兼工場を持っており、そこは津波被害を免れ、震災後も操業を続けている。さらには別にリネン工場もあり、多角経営をしている立派な大手業者 だった。

 

逃げ回る全ク連

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(記者発表はこんな雰囲気。手前の人々は業界紙記者達)

 9月27日、再び全ク連を訪れる。この会は最初にここでもっとも権力を持ち、ボス的な存在の年配の専務理事が挨拶し、その後に事務局長が進めるが、なんとその事務局長が欠席!私は大船渡市の写真を持参して「嘘を付いたのはどういうわけだ」と詰め寄ろうとしていたので肩すかしをくらった。

 それでも一応、大船渡の写真を見せて「事務局長は嘘をついただろう!」と迫ったが、職員達は私たちには関係がない、といわんばかり。何かしら口をつぐみ、重苦しいムードだった。司会の女性職員はかなり焦っていた様子だった。こういうことがあまりないのかも知れない。仕方がないので次回の会合にまた来ることにした。

 

専務理事登場

 三回目は日付が二転三転した。最初は10月28日といい、次に10月31日となり、最後に11月1日となった。その都度ホテルを予約し直したので大変だった。今までこんなに変わることはなかったので、これはおかしい。

 11月1日、会館へ赴くと、今度は全ク連トップの専務理事が登場、「今回から記者発表のやり方を変え、私がやることになった」と言った。またしても事務局長は姿をくらました。しかし、その上司の専務理事が登場したのだから、これは問いつめるには好都合だ。

 定刻前に専務理事が登場し、雑談になった。集まった業界紙の記者達は毎度顔を揃えるので顔なじみなのだろう。その中で、専務理事が私に向かってこんなことをいった。

「あなたの所は、みんな線量計ぶらさげて歩いてるんだろ」

 私が福島県から来ているということは先刻承知のはず、それなのにそういうことをいうのは戦意むき出しなのかも知れないが、冗談ではない。

「あなたの発言は失礼ではないのか?」

 私はそのようにいい、謝罪を求めた。この頃、福島県の原発事故問題は非常にナーバスな事象であり、立場のある人間が子どものような話をすること自体おかしかった。専務理事は謝罪要求に応じず、険悪な雰囲気の中、会合は始まった。(注:この件は翌年の福島県理事会で福島県理事長に要求し、謝罪させた。主張を通してくれた福島県理事長は立派であるが、全ク連専務理事は謝罪の内容は文章にはできない、立場があるからという不可解なことを言ったという)

 会議の中身は「記者発表」というだけに、全ク連が行っている活動などを発表するものである。その中には厚生労働省のソルカンドライ(=温室効果ガス)への税制優遇措置などがあったが、ここで突っ込みは入れなかった。

 いよいよ最後の段になり、私から仮設工場の問題を持ち出した。「前々回、仮設工場のことを聞いたら、まだ何も決まってないといわれた。しかし、現実に大船渡の理事長工場が仮設工場になっているではないか。なぜ全ク連は嘘を付くんだ。国の金で動かす工場なのに、そんなことでいいのか」と言った。

 これに対し、この専務理事は頭をツルツルと輝かせながら「一切答えない。今日は答える場ではない」と発言、「じゃあ、いつなら答えるんだ?」と質問すると、「そういう場はない」と答えた。私は呆れてしまった。

 おい、ここは日本だぞ。一切応えないってどういうことなのだ。

 他の人に聞くと、全ク連ではこのようなことが珍しくないらしい。全国の理事が集まって会議を行っても、その中で発言権があるのは一部の理事だけとのことだ。民主主義の日本で、この会だけは封建制度が残っているようだ。こういうバカみたいなことははじめてだったので唖然とした。クリーニングの世界では、こういうことがあるらしい。

 この会には業界紙三紙の記者と資材関連誌一社の記者、計四名が出席していたので、彼らに対し、「あんた達は、こういう対応をどう思うのか、こういうことを記事にするべきではないのか」と詰め寄ったが、なんとこの四人は下を向いて聞こえないふりをしていた!これにもビックリした。そんなにこの専務理事というのは実力があるのか?まあ、業界紙がこういう態度だからクリーニング業界はいつまでも旧態依然なのだ。

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(重苦しい全ク連記者発表)

 なお、この日に「本日からやり方を変える」という記者発表だったが、翌月からは事務局長がちゃっかり復活したと聞いた。なんのことはない、突っ込まれるのがイヤで逃げ回っていたわけだ。いい大人がこんなバカバカしい茶番を繰り返しているのである。これが、昭和32年より続く厚生労働省直轄の老舗クリーニング団体、全ク連の実態である。

まあ、こういう業態を許している方が問題ですよね。

 

仮設工場開設

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(クリーニング仮設工場のスタートを報じる岩手県地元紙。完全に美談扱い)

 翌2012年3月、問題の仮設工場が開設した。地元紙は復興事業の一つとこれを美談として紹介した。当日は全ク連会長、厚生労働省の役人らがお祝いのため大船渡に駆けつけている。工場は岩手県理事長と、他の三人の業者の共同工場だという。しかし、前から株式会社としてそれなりの規模でやっていたのは理事長だけ、残り三人は会社でもない個人業者だった。仮設工場の使用機種類はプロである私たちから見れば、最新の機器を揃え、年商一億も可能な立派なもの。他の三人の業者には別棟でアイロン台があてがわれ(個人業者はすべての仕上げをアイロン一丁で行う)、設備はほとんど理事長の独占物という印象だ。業界紙は当初、仮設工場はレンタル工場であり、借りた人達がレンタル料を支払うとのことだったが、始まってみれば国の「無償貸与」。どんどん理事長に有利に進んでいる。

 この仮設工場の場所については、海沿いではあものの、壊滅的被害とは言い難く、周囲にも人は住んでいるし、第一建物は健在だ。また、古澤理事長はここから約500メートル離れた所に住んでおり、そこにもクリーニング設備があり、9月に訪問したときも稼働していた。「津波で流され、すべてを失った」業者とは言い難い。岩手、宮城、福島にはすべて流された業者は他にもたくさんいる。地震後も操業を続けたこの業者に設備をあてがうのは明らかに不公平である。

 またこれとは別に、岩手県の北部、九戸郡野田村には復興予算を使用してドライクリーニング洗濯機の一つ、ソルカンドライ機が支給された(詳しくはここを参照)。結局復興予算はこの二つ。完全に全ク連の独占物として扱われた。

 野田村の業者に関しては、直接訪ねて話を聞いたが、その業者には何の悪意もなく、むしろ良心的な方々だった。しかし、そういう人達に使ったこともないソルカンドライ洗濯機を配置したのは厚生労働省である。別項の通り、ソルカンドライは紛れもない「温室効果ガス」。誰も歓迎しない機種をなぜあてがったのか理解に苦しむ。

 

仮設工場は建築基準法違反!

 その後まもなくして、とんでもない情報が流れてきた。仮設工場となった工場は、もともと岩手県理事長による建築基準法違反の建造物だったというのである。早速岩手県建築事務所より書類を取り寄せ、確認してみた。

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(建築課より取り寄せた書類。用途地域に近隣商業地域の文字が見える)

 すると、間違いなく近隣商業地域であり、石油系溶剤は使用できないはずだ。岩手県の資材業者に連絡し、石油系溶剤使用の有無を尋ねたが、「間違いなく使用している」とのことだった。念のため大船渡市役所建築指導課にも連絡してみたが、担当者からは、「以前より違反工場として注意勧告していた」とのことだった。

 何のことはない、理事長の工場は立派な違反物件だったのだ。

 2009年、クリーニング業界では建築基準法問題というのが起こった。大手クリーニング業者が全国に不正な違反工場を次々と建設していたのが大手マスコミによって摘発されたのである。摘発された業者が、悪いことをしていたくせに「みんなやってるじゃないか!」と開き直ったため、この問題が全国に広がった。実に全体の半数以上(公表されているだけ、実数はもっと高い)が違反だったのである。

 問題の仮設工場は、開設が平成6年となっている。この頃は「パッケージプラント」などと呼ばれ、より儲かるノウハウが業界を走り回った時代だ。しかし、儲けるには法律を破らないとならないことが多い(すなわち建築基準法違反)。そこでついでに役所をごまかす「ヤミノウハウ」まで伝わったのである。仮設工場は見た目にこの頃流行ったパッケージプラントの様相を呈している。憶測で語るのは危険だが、この理事長は時流に乗り、故意に違反をしたのかも知れない。紛れもない建築基準法違反であり、震災以前から行政から注意を受けていたことも確かだ。平成6年開設では、既得権も何もなく、「知らなかった」は通らない。

 しかしながら、ここからが肝心なのだが、実はこういう災害の場合、災害特例措置として用途地域に関係なく引火性溶剤の使用が認められるという。この場所を仮設工場としたのは、結局は岩手県理事長の建築基準法違反隠し、不正隠しであったということになる。なんともあくどい行為だと思うが、これを全ク連及び厚生労働省は容認した。全ク連に至っては執拗な追求をもかわし、不正隠蔽工作までおこなっている。要するに、この仮設工場は、税金を利用して岩手県理事長の不正隠しをしたのである。こういうのを世間ではシロアリというのだそうだ。全ク連事務局長が逃げ回るわけだ。

 

週刊ポストが糾弾

 結局、クリーニングでの復興資金の使い道は、理事長の不正隠しと温室効果ガス使用の洗 濯機押しつけというひどい結果となったが、すぐに別の問題が起こった。今回のクリーニング向け復興予算は1億4千万円以上もの金額があったというが、それが五分の一程度しか使われなかったというのである。一般に、国の予算はどんなところでもたいてい目一杯利用するものである。年度末の三月に、あちこちで道路工事が行われるのもそのためだろう。せっかく国が1億円以上もの金を準備しているのに、五分の一しか使用しなかったというのは前代未聞だ。

 これは週刊誌の「週刊ポスト」が糾弾しシロアリ問題の一つとして取り扱った。シロアリというと行政だけが悪いように思いがちだが、実際にはこの事例のように、子飼いの民間が暗躍して役所を助ける図式が存在するようだ。

 週刊誌が扱ったことで、厚生労働省と全ク連は「釈明会見」のようなものを開き、その模様が業界紙に載った。その中には、逃げ回ってばかりの事務局長が語ったという言葉で「被災地の現状を知るべく組合員だけでなく広く意見を求めたが・・・」などとあった。

 広く意見を求めただと?会いに行っても逃げたじゃないか!どこが「広く意見を求めた」だ!これを聞いていたのは厚生労働省。 役人は自分に都合のいい情報しか受け取らない。こういう出来レースが当たり前のように行われ、クリーニング業界紙はそれをそのまま記事にする。だから、この業界は他の世界から叩くしか方法がないのだ。クリーニング業界は、クリーニングのことが業界外の雑誌に書かれるたび、ビクビクしている。だから週刊ポストの様な記事は、業界を浄化するためにもぜひ必要である。

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(週刊ポストの記事。官僚が復興予算を狙った事例はこの後次々と明らかになり、その先便となった記事でもある)

 

行政評価局へ

 この様な問題はどうしたらいいのだろうか?県の組合に行っても、何しろ親方が全ク連なので、理事長とかいい人なんだけれど、動いてくれそうにない。

 公正取引委員会に行ったら、ここは民間企業同士の問題を取り扱う部署なので、厚生労働省が絡んでいるのであれば行政評価局がいいとなった。行政評価局とは聞き慣れない名前だったが、かつての行政監察局のことだった。知らない間に「柔らかい名前」になっていたんだなあ。公正取引委員会の職員は、ご丁寧にも行政評価局まで連れて行ってくれた。

 行政評価局は行政に対して意見を申し出る機関。ここでは相手は不正なクリーニング業者や非道な業界団体ではない。厚生労働省に対し、以下のことを質問することにした。

1,全ク連事務局長は二ヶ月間被災地を廻ったと聞いているが、こちらの質問には一切答えず、嘘まで付いた。この間いったい何をしていたのか?税金が使われているなら、使用された明細を明示してもらいたい。

2,大船渡に建てた工場は、明らかに岩手県理事長の不正隠しに復興資金を流用したものであり、見逃せない。被災した人々のためというが、他の業者は早々に自力で立ち直っており、大船渡市民に貢献する材料はほとんどない。このような不正な工場は即時停止してもらいたい。

3,全ク連は廻りに復興資金について連絡せず、自分たちだけで流用した。全ク連のシェアは低いのだから、ちゃんと平等に情報を流してもらいたい。

(正式に送った文章はこちら。ただ、固有名詞は隠しております)

 行政評価局は、4月25日付で厚生労働省に質問文を送ってくれたが、いつまで経っても返事は来なかった。何度も何度も催促して、9月、知り合いの、厚生労働大臣の秘書を知っているという人にお願いし、その秘書様から午前中に電話が来たその 日の午後、やっと文章が送られてきた偉い人に怒られると、役所は動くらしい(ガキかよ)。なんと五ヶ月待たされた!それがこの文章だった。

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 おい・・・。

3は要望なのでともかく、1については、予算が執行されてから半年過ぎて、「現在審議中」のわけはない。全ク連事務局長は被災地を二ヶ月間廻って歩いたというが、被災地周辺の 業者で、事務局長に会ったという人の話は聞かない。どのように動いたのか、結果として全く税金を無駄にしたわけだから、予算の使い方を明確にしてもらわな いと困る。二ヶ月も被災地をフラフラしていて、その成果は岩手県理事長の不正隠しと温室効果ガスドライ機の押しつけか?二ヶ月、いったい何をしていたのかハッキリしてもらいたい。領収書をみんな見せてもらうだけで結構だ(税金だし)。後はこっちで調べるから。

 2については、「岩手県、大船渡市の関係部局への諸手続を経て開設されたものと承知しております」とあるが、2009年時点で大船渡市の行政は「違反である」と言っており、注意を勧告していることは紛れもない事実である。仮設工場となったのはその後であり、この場所が違反工場である事実を知らないわけはない。現地の国土交通省関連役所に責任転嫁するのは全く筋違いである。2009年11月、厚生労働省役人は全ク連主催の展示会の中で建築基準法に関する講演会を行っているのがその証拠である。責任逃れは許されない。だいたい、当初は被災した業者へのレンタルだったのに、全然レンタルじゃないだろう!

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(2009年11月の厚生労働省役人による講演会。厚生労働省が建築基準法問題を知らないわけがない。私は最前列で何度も質問したが、「国土交通省に聞いて下さい」と言うばかりだった。だったら来るな!)

 このようなことで、再度質問しているが、いまだに回答がない。行政評価局は催促してくれというとすぐにしてくれるが、全然返事がない。何とかしてくれというのだが、行政評価局は催促する以上のことは出来ないのだそうだ。

 

 ということで、要望は同じ、次の二つ。

○全ク連事務局長は二ヶ月間被災地を見て歩いたというが、本当なのだろうか?その間に歩いた証拠を見せていただきたい。ホテルに 宿泊すればそれも記録に残っているはずである。週刊誌にも批判されたとおり、現実には被災者への何の助けにもならなかった。それなりの責任は取るべきでは ないのか?先の建築基準法問題では、業界が違反だらけだったのに、数十年に渡ってそれを放置している。本来ならその責任も取って然るべきではないのか?と にかく予算がどのように使用されたのか、明らかにせよ。

○岩手県理事長の工場は行政からも不正を指摘されていた紛れもない建築基準法違反工場。それを国の資金を利用して「合法化」しよ うとはなんという卑劣な行為か!そして、仮設工場はほとんど住民の役に立っていない。要するに税金の無駄遣いで、不正業者の救済!そんな工場は、即時停止 を求める。違反を停止しないのなら、この業界の違反を数十年間放置した厚生労働省は、違法行為を容認するものとする。